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どこまでも歩けるはずなんだ

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谷崎潤一郎『猫と庄造と二人のをんな』 感想

読書

cat,syouzou and two womens

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こんにちは。

著作権が70年に延長されましたね。

今年没後50年を迎える江戸川乱歩先生と谷崎先生(両方めっちゃファンなのです)はどうなるのかしら……とハラハラしておったのですが、実際に新ルールになるのは1、2年かかる、ということで、このお二人はギリギリ逃げ切りました。よかった。

ということで(どういうことだ)、今日は『猫と庄造と二人のをんな』について感想を書きます。

谷崎先生と言えば、「何か妖しげな性愛の世界」イメージがありますが(あと、脚フェチとかね)、この作品はかなりコメディータッチで楽しいです。表紙の猫も超かわいいし。にゃんこ大好き。

物語は、庄造の後妻・福子が、前妻の品子からお手紙を受け取って読んでいるところから始まります。「福子さんどうぞゆるして下さい此の手紙雪ちやんの名前借りましたけどほんたうは雪ちやんではありません、」とこんな調子で続きます。

どうやら品子は、関西で言うところの「アホぼん」(甘やかされたアホなお坊ちゃん)の庄造が、好きな福子と一緒になるために追い出されてしまった先妻のようです。

実家から持ってきた荷物もろくに取り戻せていない……だからせめて、庄造が可愛がっている猫・リリーをくれ、とお手紙で訴えます。

福子は、リリーへの嫉妬(?)もあって、庄造に譲ってしまおうと提案しますが、彼は嫌がりのらりくらりとごまかします。

業を煮やした福子が寝室で庄造を抓りまくり、それを見かねた庄造の母も「譲っとけ」と言います。

ザコンの庄造は、とうとう猫を品子に譲ることを決意します。

一方、リリーを手に入れた品子は、離婚前にリリーを(嫉妬で)いじめていたこともあって、少し気まずい思いをします。来てばかりの頃は、リリーがなかなかごはんを食べてくれなくて、とてもやきもきします。

しかし、次第にリリーが可愛くて可愛くて仕方ないようになってしまいます。恐ろしいなリリー。とんだ魔性の女っぷりやわ。

と、庄造、福子、品子が美猫リリーに振り回されるさまを描いた本作。

舞台は阪神間なので、みんな関西弁でしゃべってます。谷崎は江戸っ子ですが、関東大震災で関西に避難したままずっと住んでいたのですね。本人は生涯東京弁で話したそうですが。

また、この作品を書いた時期は、谷崎の二人目の妻・丁未子さん(めっちゃ可愛い)と事実上離婚し、三人目の妻となる松子夫人と結婚した時期と重なっています。

このことから、品子=丁未子さん、福子さん=松子夫人なのでは? と思いたくなってしまいます(キャラがいまいち違う感じですが)。

作家の人生と作品を重ね合わせて解釈するのは、ちょっとどうなんだろうと思われているような節もあります。

しかし、谷崎は芸術のために生活空間を作り出していた作家であります。家とかこだわりすぎて、阪神間で過ごした21年間中に13回引っ越してるくらいです。だから、作家の人生を辿ることが作品解釈の大きな鍵になるのですね。

ほんと、変わってんなこの人……。