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どこまでも歩けるはずなんだ

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秋の夜長にパスティーシュ-高殿円『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』感想

読書

 こんばんは、おのまちです。道を歩いていると、金木犀の香りがどこからか漂ってくるようになりました。秋が深まってきましたね。秋大好きなんで浮かれております。風邪はまだ治ってないけど。そろそろ病院行った方がいいかな。

 

 さて、私が通っている大学の図書館では、だいたい一ヶ月半ごとにフェアをやっています。今やっているのは「ミステリー」フェア。ミステリーに関するおすすめ本が展示されていて、もちろん貸出し可。私、国民的アニメ『名探偵コナン』で育ったようなものなのですごく嬉しくて、展示をニヤニヤしながら眺めています。キモい利用者で申し訳ない。

 そこで、高殿円さんの『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』を見つけました。

books.google.co.jp

 本屋で見かけたことがあるので、この本の存在は知っていましたし興味もありましたが、貧乏なので文庫化まで待つつもりでした。もちろん即借りました。

 この本は、コナン君憧れの名探偵シャーロック・ホームズパスティーシュ(パロディ)というジャンルです。みんな大好きシャーロック・ホームズ(私はワトソン派だけど)。著作権が切れているのをいいことに、これまで数々の自由奔放なパスティーシュが創り出されてきました。性転換してみたり、時代を変えてみたり、ホームズに子どもや後継者がいた設定にしてみたり。あと、ホームズとワトソンが付き合ってる設定にしたり(腐女子の二次創作みたいですが、マジでそういう可能性を指摘する文学者や研究者もいるそうです。正直私もそう思う)。


 『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』の舞台は、オリンピック開催で浮かれモードな、2012年のロンドン。アフガンで負傷し帰還した軍医(副業でハーレクイン小説も書いてる)ジョー・ワトソンは、金も仕事も恋人もなし。友人の紹介で、「顧問探偵」を名乗る謎めいた美女シャーリー・ホームズとルームシェアをすることになる。

 とまあ、一応あらすじを書いてみました。が、原作との違いは時代と性別だけではありません。すごいですよ。ホームズは人工心臓と大量の薬で生命を保ってるわ、ホログラムは出てくるわ、ミセス・ハドソンはプログラムになってて電脳家政婦として活躍してるわ。「2012年というのは3012年の誤植なのでは?」と思ってしまうほどの近未来っぷりです。ぶっとんでて面白かった。

 そして、すごく百合でした。だって、「案外詩人だね」ってジョーに言われたシャーリーが「まるで愛を告白されたような顔」になるんですよ? それにシャーリーは、国家公務員の姉(マイクロソフトの女性版)に呼び出されたジョーが愛人にされないか心配そうにしてましたし……これは百合です。間違いない(探偵風)。

 ちなみに、レストレード警部もモリアーティー教授も被害者4人も犯人も全員女性です。女子校で起こった事件か? ってくらい男性が出てきません。主要登場人物が男言葉っぽい喋り方をするので、あんまり女性に変えた意味ないんじゃないかなー、と思っていたけど、ありましたわ。ジェンダー問題とか「緋色の憂鬱」とか。

 機械っぽい天才美女×(軍医という職業は平凡なのかという疑問はさておき)男運悪い系平凡女子という感じかなあと思ってたのですが、どうやらジョーも中々ワケありな人物なようです。この本では全貌は明らかにされてないので、次巻に続く!って感じなのかしら。ていうか続編出るのかな。