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頭痛が起こらなかったよ!-村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』感想【読書会紹介本】

先日、知り合いに誘われて読書会に参加してきました。その時に紹介した本について、ブログでも書こうと思います。

 

読書会紹介本②村上春樹神の子どもたちはみな踊る

 1995年1月17日、阪神淡路大震災が起きた。その後を生きる人々の、6つの物語を収めた短編集。地震の中継を見つめ続けた妻に去られた夫の釧路旅行、茨城の海岸で流木を集めて焚き火をする男、東京に大地震を起こそうとするみみずくんに立ち向かうため、かえるくんに応援を要請された男。心に空虚を抱えていたのが、地震をきっかけにふつふつと現実世界に沸きだす。

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 前にも書いたような気がするが、私は村上春樹が大の苦手である。セックスシーンがやたら多いとか、けったいな比喩が多いとか、主人公がナルシスト臭いとか、そういった理由からではない。ただ単純に、文体が苦手なのだ。読み進めていくと頭痛がしてくる。はっきり言って苦行だ。

 しかし、ハルキストと呼ばれる人たちも、逆にアンチの人も多い中で、「頭痛がして読み進められないので感想すらない」状態の私は、本好きとしてちょっとどうなのかと思い続けてきた。「私は私の好きなもんだけ読む!!」というふうには、まだ開き直れない。斜陽業界と呼ばれて久しい出版界で、あれだけ注目されている作家なので、かなり気になるのである。

 

 村上春樹に対して(勝手に)葛藤を抱いていた私が、この本を読んでみたきっかけは、大学の講義である。サブカルチャーも含めた「現代文学」について学ぶ講義で、毎週とても楽しみにしている。その講義を受け持っている先生は、「村上春樹大好きだけど嫌われる理由も分かるし、ぶっちゃけ私も嫌いなところはある」という複雑に村上春樹を愛している人だ。先生が講義の中で「これだけは読んでみて!」と熱心にこの本を勧められたので、読んでみた。

 

 読んでみて、本当に驚いた。頭痛が一切しないのだ!! むしろ物語がどう展開していくのか気になって、どんどん読み進めてしまう。「ええ!? どういうこと?」と自分で自分に衝撃を受けた。

 どうしてこの本は頭痛がしないのか。と自分に問いかけると、やはり「阪神淡路大震災」に関係していること、人間関係がドロドロしている短編が多いので俗っぽい楽しみ方ができること、の2点が理由だと思う。

 私兵庫県出身なので、「阪神淡路大震災」の話題に多く触れてきた。しかし震災が起きたのは赤ん坊の頃で、記憶がない。だから却って、遠くから「阪神淡路大震災」を見つめている人に共感できる。自分に関わりがある悲劇なのに、どうにも繋がらないのだ。また、私は人間関係萌えの人間なので、個人の葛藤を延々と描かれるよりも、人と関わっていく中で自分の葛藤をぽろりと零すような、そういう話の方が好きだ。というか、愛している。 

 村上春樹苦手だけど挑戦してみたい、という人には、非常におすすめの一冊だ。