読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

どこまでも歩けるはずなんだ

読書と仕事と妄想と。ゆるゆるやっていきたいです

先生

お風呂から上がり、この文章を書いている。

今日は忙しい一日だった。
尊敬するゼミの教授の、最終講義と退官記念パーティーに参加した。
パーティーではゼミのみんなで椅子の上に上って記念撮影のための垂れ幕を掲げた。私が持っていたところは、ちょうどのりで紙を張り合わせていたのが取れそうになっていて、かなり焦った。分解しそうなのが写真には残っていないと信じたい。


教授は、33年以上にも渡る研究生活の中で、谷崎潤一郎の文学と「場」の関係について、研究されてこられた。
先生がこの研究テーマを発見するまで、谷崎が阪神間にいた頃の足跡は誰も調べていなかったという。
未踏の分野を、先生は自分の足を使って、ザクザク、ザクザクと開拓されてきたのだ。

誰もしていないことをやるのは、とても勇気がいる。
でもそれが、男性優位の学問世界の中で、先生が長きにわたりキャリアを積んできた、秘訣のひとつなのだと思う。
代替不可能の存在になるということ。


先生に言われたことで、とても印象に残っていることがある。確か、あれは先生の知人であるプレゼンテーションのプロによる就活対策セミナーを受講したときのことだった。その場にいた先生は、セミナーの最後に

「これからあなたたちが社会に出ていけば、いくつかの選択肢で迷うことがあるでしょう。

そんなときの解決策はただひとつ、全部選べばいいんです。

欲張りに生きなさい。望むものは、全て手に入れることができるんだから」

と、おっしゃった。
聞いたときは、「ええ、そんなあ」と思った。なぜなら、人生は妥協の連続だと思っていたから。わがままに振る舞えば、自分にいつかそのツケが来る気がして、怖かった。

けれど、今なら分かる。
何かを望むことはわがままではないこと。妥協せずに済む道を探し、やりたいことを何でもやれる力が私にもあることを。


メンタルを病んだ経験から(今もまだ完全に寛解はしてないけど)、私は「無理しなくてもいいよ」と周囲から言われることが多い。正直、私もそんなに無理はしたくない。
けれど、それでも「自分の望みを捨てて生きるな」というメッセージをくれたのは、先生だけだった。

先生、本当にありがとうございました。