うつになると本が読めない

 非定型うつになって一番ショックだったことは、本が読めなくなったことでした。

 

うつ病」自体には大学時代も一度発症したことがあったので、不安感や理由のない焦燥感、過呼吸、といった症状には耐える……というか「ああ、これはうつのせいだな」とやり過ごすことができました。

 けれど、「ストレス発散に本でも読もう」と思って本を開いたとき、なんだか、書いていることの意味が分からない、というか、文字が認識される前に滑っていってしまって、私が今読もうとしていたものは何だったのか、そして今から読もうとする文章は一体何を伝えようとしているのか、分からなくなってしまいました。

 私はあまり趣味が多くない人間です。強いて言うなら、読書と文芸創作、そしてギターの演奏でしょうか。けれど、うつの状態で新しく何か物事を始めるのはとても難しいのです。「文芸創作は設定を考えるのが億劫」「ギターはチューニングが面倒」と思ってしまい、残された唯一の趣味が「読書」でした。

 

 一日30分程度の読書(できれば紙が望ましい)は、ストレス軽減につながるという研究結果があるそうです。いくつかの自己啓発書やストレスに関する本で見かけたので、おそらく有効な研究結果なのでしょう(ソースはよく知らないけど)。

 でもきっと、心身ともに「まだ健康」な人に対して有効なのだと思います。うつが酷い状態(=ストレスに押しつぶされそうになっている状態)になっているのに、ストレス発散を求めているのに、そのストレスに押しつぶされそうなほど追い詰められているせいで本が読めない(ストレス発散ができない)なんて、何という皮肉。「本が読める」状態の方は今のうちにストレス発散しておいてくださいね!

 

 私のストレス源は明らかに前職(図書館司書)だったので、退職し一週間ほど寝たり散歩したりしていると、かなりよくなってきました(まだ判断能力がない状態で転職をしてしまい2週間で辞めてしまいましたが……)。ストレスの渦中→名言集・絵本が限界、お休みの日→かなり文字数の少ない自己啓発書、転職活動中→新書や自己啓発書、今(無職、職業訓練検討中)→それに加えて小説も読める、という段階を踏み、楽しい読書ライフが戻ってきました。やったね!!

 新書や自己啓発書より、小説の方が読むのが大変なんですよね。うつが酷い時って、想像力を働かせるのがかなり苦痛になるのか、登場人物たちについていけなくなってしまう。うーーーん、なぜなんだろう。