絶望の短編集

 

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私は短編集が好きです。長編よりも短編集の方が多く読んでいる気がする。

その理由としては、以下の3つが挙げられます。

①途中で集中を切らさず読めるので、濃い読書ができる(人間の集中力は90分が限界だと言われています)

②紙数が限られている分、表現が選び抜かれていて、ムダがない印象を受ける

③普段あまり本を読まない友人に「おすすめの本ない?」と聞かれたときに勧めやすい

読書の輪を広げるのに、短編集はうってつけだと思うんですよね。

さて、短編集クラスタな私ですが、有吉佐和子先生の『ほむら』を読んだときは打ちのめされました。

「なんてすごい小説なんだ……」と。

ブログに自作小説を置いてる時点でバレバレですが、私は密かに小説家になりたいと思ってきました。しかし、大学で文芸創作を専攻し、アマチュア作品のすごさ・自分の才能のなさを自覚し、「小説を書くのは趣味にしておこう」と思うようになりました。でも、

「趣味にしておいて、公募に送ればいつか賞金はもらえるかもしれないし……」

まだ、いつか評価されるかもしれない、という希望(欲望ですね、どちらかというと)は捨てきれなかった。

しかし、この本を読んで完全に、その希望すらもなくなりました。

『ほむら』は、作者が20代の半ばから終わりにかけて執筆した短編を収めています。

しかし、若々しさや青さ、といったものはいい意味で全く感じません。人生の機微を知り尽くした人が、しっとりと書き上げた、というような感じすらします。

20代半ばまで、あと数年。

私に、人様に評価されてお金を頂けるような小説は、まだまだ書けそうにないな。

絶望しつつ、それでもこの本に出会えてよかったと思っているのだけれど、小説家志望の人には勧められない本の紹介? でした。内容については、またいつか詳しく書きたいと思います。