グロテスクと涙の間-小野美由紀『傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』感想

*感想と言いつつ、自分の話ばっかになってしまいました。すみません。

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たまに、何度も読み返す本と出会うことがある。この本は……もう何回読んだのかなあ。よく覚えてないくらい読み込んでいる。
でも、初めて読んだ時は、何度も読み返すとは思ってなかった。あまりにグロテスクで、正直かなり辛かったのだ。


初めて読んだのは、今年の3月。買うかどうか本屋で1ヶ月悩み続け、初めて就活をした日に買った。

リスカや強烈な家族は、平穏な家庭でのびのび育った私には、刺激が強すぎた。リスカは、血と刃物が苦手なので、想像するだけで血の気が引いた。強烈な家族については、打ちのめされたと言っていい。私が「毒親って何?」というくらい可愛がられたからかもしれないが、とにかく怖かった。
私にも、いじめで教室拒否(登校はしてた)、うつ病などの経験はあるので、共感できた部分もある。だけど、あれらは本の中にあるような極彩色の強烈な体験ではなかった。どっちかというとセピア色だ。
 

もう読まないだろうと思ったこの本を読み返したのは、就活が辛くなり始めた5月頃。

今も内定先は決まってないから、まだ就活を続けている。「うまくいかない就活」の何が辛いって、自尊心がパリパリ剥がれてきて、どんどん自分が嫌いになってく所だ。あれ、おかしいな、昔はもっと自分が好きじゃなかったか。嫌いになっていく過程で、昔と比べてしまう。

そんな時にこの本を手に取ってみると、自分を好きになれる方法が、色んな人のことばで溢れていることに気づいた。それを読んで、私は皮のめくれた自尊心に絆創膏をする。初めて読んだ時よりも、共感できる所というか、体感として分かる所が増えていく。時には泣いてしまうこともある。


この本を、グロテスクで怖いと思った私と、癒されて涙を流すようになった私の間には、「拒絶された経験の有無」がある。それも、諦めのつかないモノに。

だから、就活がうまくいっていてもメンヘラじゃなくても、拒絶されて諦めがつかず哀しみを抱えている人は、読んだら癒されると思います。たぶん。