2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧
―――小枝子のすすり泣きが聞こえた。死後の世界に、一緒に来れたのだろうか。 私は目を開け、身体を起こした。そこは、駅のホームのベンチだった。駅員さんがおろおろしながら小枝子を慰めている。 「お嬢さんたち、何があったんだかあたしにはさっぱり分から…
仄暗い百合。大正時代の女学生さんをイメージして書きました。ついさっき書き上げた、できたてほやほやの作品なので、もちろん時代考証は一切しておりません。それでもよければどうぞ。 ************ やたらと明るい夜だ。ガス灯などないこの田舎の道でも、…
クレーマー。 それは、働く人々の心を傷つけ疲労させ仕事の邪魔をし、店舗での場合だと他の客までも不愉快にさせる怪物だ。私は図書館で働いていて、お金を取らない分、まあまあクレーマーは少ない方だと思う。それでも月に何回かはクソめんどくさいクレーマ…
窓の外を見遣ると、紫、青、ピンク。紫陽花が雨に濡れながら咲いていた。紫陽花に感情はあるのだろうか。どこかで、「きれいだよ、がんばって咲いてね」と言われたチューリップは大輪の花を咲かせ、「おまえなんてさっさと枯れてしまえ」と言われたチューリ…
昨日、仕事終わりにスマホを開くと、妹からLINEが来ていた。妹は基本的に辛口で、良かったとしても「まぁ悪くはない」とかのたまうタイプだ。そんな妹が褒めている…?!というわけで、映画「ズートピア」を観に行ってきました。元々気になってたしね。Twitte…
米原万里が亡くなって、10年が経つ。つまり彼女の書いたものは、2006年から時が止まっているのであるが、なぜか古さは感じさせない。たっぷりのユーモアと鋭い観察眼が成せる技なのか。ゲラゲラ笑って、でも人間について深く考えさせられる。残念ながら私の…